声帯内注入術(嚥下機能改善手術、声帯充填術)とACE阻害薬(降圧薬、アンジオテンシン変換酵素阻害薬)の比較嚥下障害
適用される患者
長期間リハビリなどで改善しない方、より短期間で社会復帰を望む方、口のはたらきは保たれているが喉の障害が重い方、誤嚥してもある程度のむせ反応がある方、自分でたんを出すことができる方、嚥下障害に加えて発声の問題などが重複している方
以下の方は適応をさけましょう。
口や喉の感覚の低下が重い方、寝たきりの方、コミュニケーションが著しく障害されている方、進行性の神経系の病気を患っている方、脳の神経などの障害により著しく嚥下機能が障害されている方
咳の反射反応が低下している方
以下の方は適応をさけましょう。
妊娠中の方、高カリウム血症の方、腎臓の動脈に障害がある方
他の治療法に比べての優位性
留意すべきこと
専用物質は全て吸収されるわけではないため、効果が確実でないことがあります。
全身麻酔で行われるため、声の状態などを確認することができず、過剰に注入されることや声帯の粘膜直下に注入されることもあり、声が悪化する場合もあります。以前の声より悪くなることがあり、修復も難しくなることもあります。
副作用に注意し、投与は慎重に行う必要があります。
透析を行っている方は服用できない場合がありますので注意が必要です。
副作用と対策
手術中に神経が傷つく、あるいは術後の腫れやむくみなどにより気道が圧迫され、呼吸困難などを生じる可能性があります。
必要に応じ、気道を切り空気の通り道などを確保する手術を行う場合があります。
手術創より出血する可能性があります。
出血した場合、薬物治療や外科治療により止血を試みますが、出血量が多い場合は輸血が必要になる場合があります。
手術を行った部位に細菌が入り増殖することで感染症をおこし、発熱や手術部位の膿や痛みなどの症状があらわれることがあります。術後、熱がなかなか下がらない場合や、血液検査において炎症を表す数値が高い場合、また手術を行った部位の外観の異常で術後感染症の有無が判断されます。
手術の前後には、抗菌薬による予防的な投与が行われます。また術中に関しては、手術室は空調により浮遊している粒子が手術部位の視野に極力入らない工夫がなされ、また手術部位、術者、医療器具などは消毒による無菌管理厳しく行われています。こうした徹底した予防を行っていても、手術後の感染の可能性は一定の確率でおこる場合があるため、抗菌薬の投与を行い、膿んでしまった場合は傷を開いて膿を排出するなどの対策を行います。
薬の作用が強過ぎると、血圧が低くなり、あくびや吐き気、嘔吐、頭痛、動機、冷や汗などの症状があらわれることがあります。
年齢や症状に合わせて少量から投与していくのが一般的とされています。比較的副作用は少ないといわれますが、気になる症状があらわれた場合、早めに医師に相談するようにしましょう。薬の使用を継続するか判断することがあります。
腎臓のはたらきに障害が生じて、尿が少ないあるいは出ない、むくみ、血尿、からだのだるさ、吐き気、側腹部痛、腰痛、発熱、発疹などの症状があらわれることがあります。
副作用に注意しながら、年齢や症状に合わせて少量から投与していくことが一般的とされています。また、比較的副作用は少ないとされますが、症状がみられる場合は速やかに受診しましょう。定期的な検査を行うことで腎臓の状態を把握しましょう。
倦怠感、息切れ、不整脈、しびれ、不安感、けいれんなどの症状があらわれることがあります。
定期的に血液検査を受けましょう。症状があらわれた場合は、医師に相談しましょう。
ACE阻害薬の代表的な副作用です。投薬開始初期にあらわれることが多い症状のひとつで、痰のからまない咳が出ることがあります。
比較的徐々に軽減するため、日常生活に支障がなければ経過観察を行いますが、症状が重い場合は医師に相談しましょう。投薬量の調整や変更を検討します。
顔や唇、舌、のどがひどく腫れる、食べものや飲みものが飲み込みにくい、息がしにくい、手足が腫れるなどの症状がみられる場合があります。
息がしにくいなどの症状があらわれた場合、早急に医師に相談するようにしましょう。 また、遺伝的に血管性浮腫をおこしやすい方などもいるため、少しでもからだに異変を感じた場合は必ず医師に相談しましょう。
一般的な所要時間
入院期間:1~2週間程度
手術時間:30分~1時間程度
治療期間:回復するまでの期間
※症状により治療期間は異なりますが、定期的に必要となることもあります。
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上記以外の嚥下障害の治療法
- 間歇的口腔食道経管栄養法
- 体位指導
- レボドパ
- 喉頭形成術
- 気管切開術
- 喉頭閉鎖術
- 甲状軟骨側板切除術
- 舌小帯形成術
- 鼓索神経切断術
- 口角挙上術
- 半夏厚朴湯
- アマンタジン塩酸塩
- 経静脈栄養療法
- 経腸栄養療法
- 物理療法
- 食事療法
- 喉頭全摘術
- 気管食道吻合術
- 声帯縫合術
- 仮声帯縫着術
- 喉頭蓋披裂部縫合術
- 披裂軟骨内転術
- 舌骨下筋群切断術
- 輪状咽頭筋切断術
- 咽頭縫縮術
- 咽頭弁形成術
- 舌接触補助床
- シロスタゾール
- 運動療法
- 口腔ケア
- 喉頭気管分離術
- 喉頭蓋管形成術
- 甲状軟骨形成術I型
- 喉頭挙上術
- カプサイシン
参照元:(標準的神経治療:神経疾患に伴う嚥下障害 日本神経治療学会https://jsnt.gr.jp/guideline/img/enge.pdf(2017年2月16日閲覧),嚥下障害診療ガイドライン2012年版 日本耳鼻咽喉科学会 金原出版 2012年,日本耳鼻咽喉科学会会報Vol.118No.1 日本耳鼻咽喉科学会https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/118/1/118_74/_pdf(2017年2月16日閲覧),医薬品医療機器総合機構Pmdahttp://www.pmda.go.jp/(閲覧日:2016年2月24日))
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