気管切開術(誤嚥防止手術)嚥下障害
概要
誤嚥防止手術の1つです。気管とその上の皮膚を切り、その部分から気管にチューブ「気管カニューレ」を挿入し気道を確保する手術です。「気管カニューレ」を通して肺に空気をおくり込む、自分でたんを出せないときに「気管カニューレ」を通してたんを吸い取るなどができるようになります。
嚥下機能改善手術に加え、行われることがあります。
他の治療法に比べての優位性
留意すべきこと
皮膚の切開が必要となるため、感染や出血などのおそれがあります。
長期間にわたると、気管の粘膜がダメージを受けることや気道が感染する場合があります。
術後に発声の機能が失われる可能性があります。
手術は一定期間のリハビリテーションを行っても十分な効果が得られない場合に検討されます。また手術を行っても十分な効果が得られず障害や誤嚥が残る可能性もあります。
副作用と対策
手術創より出血する可能性があります。
出血した場合、薬物治療や外科治療により止血を試みますが、出血量が多い場合は輸血が必要になる場合があります。
手術を行った部位に細菌が入り増殖することで感染症をおこし、発熱や手術部位の膿や痛みなどの症状があらわれることがあります。術後、熱がなかなか下がらない場合や、血液検査において炎症を表す数値が高い場合、また手術を行った部位の外観の異常で術後感染症の有無が判断されます。
手術の前後には、抗菌薬による予防的な投与が行われます。また術中に関しては、手術室は空調により浮遊している粒子が手術部位の視野に極力入らない工夫がなされ、また手術部位、術者、医療器具などは消毒による無菌管理厳しく行われています。こうした徹底した予防を行っていても、手術後の感染の可能性は一定の確率でおこる場合があるため、抗菌薬の投与を行い、膿んでしまった場合は傷を開いて膿を排出するなどの対策を行います。
こちらには代表的な副作用を記載しております。具体的な薬剤の副作用はこちらからご確認ください。『処方薬』のお薬検索
費用
3,000円程度
一般的な所要時間
入院期間:1週間程度~
手術時間:30分~1時間程度
適用される患者
重度の呼吸不全がある方、たんを自分で出せず肺や気道にたんがつまりやすい方、発声より飲食物の摂取を強く望む方、嚥下機能を改善させる手術をしても誤嚥をくり返す方、重度の神経系や筋肉系の病気がある方
以下の方は適応をさけましょう。
呼吸やたんを出すことに問題がない方、全身の状態が悪く気管切開に対して耐えられない方
更新日:2017年02月21日
参照元:(標準的神経治療:神経疾患に伴う嚥下障害 日本神経治療学会https://jsnt.gr.jp/guideline/img/enge.pdf(2017年2月16日閲覧),嚥下障害診療ガイドライン2012年版 日本耳鼻咽喉科学会 金原出版 2012年,日本耳鼻咽喉科学会会報Vol.118No.1 日本耳鼻咽喉科学会https://www.jstage.jst.go.jp/article/jibiinkoka/118/1/118_74/_pdf(2017年2月16日閲覧),医薬品医療機器総合機構Pmdahttp://www.pmda.go.jp/(閲覧日:2016年2月24日))
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