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職場で義務化されている「ストレスチェック制度」。従業員にとって不都合は?

2015年12月1日から、50名以上の事業所を対象とした従業員の「ストレスチェック」が義務化されました。職場環境を改善するのが目的ですが、実際のところどのような制度なのでしょうか? 私たち労働者にとって不都合は? 匿名性はあるの? …そんなストレスチェックに関する疑問点にお答えします。

職場で義務化されている「ストレスチェック制度」。従業員にとって不都合は?

増加する精神障害による労災請求


いよいよスタートする「ストレスチェック制度」。どこかで耳にしたことはあるのではないでしょうか? これはメンタル不調により従業員が休職、退職したり、自殺したりする例が増えていることから、精神障害を起こしやすい企業の職場環境を改善すべく、医師や保健師を実施者とするストレスチェックが2015年12月1日施行の法改正で義務化されました。


詳しい数値を見ていくと、厚生労働省がまとめた平成26年度の「過労死等の労災補償状況」によると、“精神障害の労災請求件数”が前年度より47件多い1,456件、支給件数は497件と共に過去最多を記録したそうです。


また、20歳~59歳までの働く男女1,000名を対象にした「ストレス実態調査」(実施:株式会社マクロミル)によると、以下のような実態が明らかになりました。これは、早急に対策すべき憂うべき現状ですね…。


・働く男女の86%が「ストレスを感じている」、原因は「仕事、職場の人間関係」が多数(「強く感じる」30%+「やや感じる」56%)


・42%が、「ほぼ毎日」ストレスを感じる



ストレスチェック、どうやって実施されるの?


対象となるのは、50名以上の従業員を雇用している事業所。その事業者は、全従業員に対して規定のストレスチェックを、最低年1回実施しなければなりません。


実施しなければならないといっても実際におこなうのは、医師や保健師、もしくは研修を受けた看護師、精神保健福祉士です(※将来的には公認心理師も)。


そして、ストレスチェックの結果は、事業者ではなく“労働者本人に直接通知しなければなりません労働者がその職場で働きづらくなるのを防ぐために、事業者には結果を公開してはいけないことになっていて、産業医がデータを取り扱います。



ストレスチェックの実施内容は?


さて、そのストレスチェックの内容ですが、実施するのは次のふたつです。


・調査票記入によるストレスチェック

※全従業員が対象


・医師面接指導

※高ストレス状態にあり申し出をした従業員が対象


医師による面接指導の後、事業者は医師の意見を聞いたうえで、労働時間の短縮や就業場所の変更など、ストレスの原因となった状況が改善されるよう措置をしなければなりません。


この段階で、対象となる従業員が結果として高ストレス状態であることが事業者に伝わりますが、事業者は、この従業員にとって不利益となるような扱いは禁止されています


なお、事業所はストレスチェックの実施期間やチェックの対象人数、受検人数、医師面接を受けた人数を年に一回、労働基準監督署に報告しなければなりません。


このストレスチェックの簡易調査票、および実施マニュアル等は、厚生労働省のホームページ「ストレスチェック等の職場におけるメンタルヘルス対策・過重労働対策等」からダウンロードが可能です。



ストレスチェックで働きやすい職場になる?


あくまで予想に過ぎませんが、このストレスチェックにより、もしかすると職場の環境が変わるかもしれません。


今の段階では努力義務ですが、ストレスチェックのデータは匿名性を保たれたまま、組織分析として活用されます。組織分析データには、従業員全体のストレス傾向が如実に現れているため、企業は改善ポイントを把握しやすくなります。


例えば、配置換えをおこない現場の人間関係を改善したり、人員不足のところに人材を補充することで過重労働の回避を促すことができるでしょう。


その結果、生産性や効率性の向上が期待できるため、データをうまく活用すれば企業側には大きなメリットがあると思われます。


さらに、労働者にとっても、職場環境が改善されやすくなれば過剰なストレスが溜まらず、働きやすくなるのではないでしょうか。



職場での悩みを一人で抱えきれなくなったら…


職場での人間関係の悩み、仕事の耐えがたいプレッシャー(重責)、過重労働による健康障害などを相談する窓口、「こころほっとライン」が平成27年9月から利用できるようになりました。


職場の同僚にはなかなか話しづらい、そして家族にも心配をかけたくない… そんな時は、まず匿名で相談できる下記の窓口を頼ってみてください。


メンタルヘルスに関する無料の電話相談窓口「こころほっとライン」が開設


また、“こころの悩みに応えてくれる相談窓口を以下にまとめましたので、ご参考にしてください。


心の病、誰にも知られたくない、でも誰かに相談したい…そんな時頼れる相談窓口リスト


心理的に追い詰められないためには、物事をポジティブにとらえるよう普段から心がけることが重要だそうです。上司に怒られたら期待の裏返しだと考える、といったように。心身ともに快く働けるよう、企業も労働者も、それぞれに配慮していきたいですね。


追記:2015.12.02

事業者向けの「厚生労働省版ストレスチェック実施プログラム」に誤りが見つかったようです。11月30日に差し替え済みですが、再ダウンロードが必要とのことなので、ご注意ください。

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000105735.html



参考情報:

平成26年度「過労死等の労災補償状況」を公表(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000089447.html

働く男女1000人ストレス実態調査(マクロミル)

http://www.macromill.com/r_data/20151127stress/index.html


著者情報

治療ノート編集部
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