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「こんなに早く就職が決まるとは」~発達障がい者が2社目で内定を得られた理由~

発達障がいの一つであるアスペルガー症候群を抱える山内亮さん(仮名・24)は、大学卒業後、就労支援施設に通いながら企業への就職をめざしていました。過去にアルバイトなどの就労経験はなく、選考を受けるのは初めて。「一人だと面接で何も話せなかったと思う」、そう話す山内さんの就職活動を支えたのが、障がい者と企業の双方を採用面でサポートする企業「スタートライン」が提供するサービス「MyMylink」。山内さんはどんな就職活動を経て内定を得られたのでしょう。MyMylinkの取り組みや就職先の企業の配慮は? 山内さんをはじめ、関係者に聞きました。

掲載日:2017年10月03日

「こんなに早く就職が決まるとは」~発達障がい者が2社目で内定を得られた理由~

企業の紹介や面接の同行など、多方面にわたりサポート


「まさか、こんなに早く(就職先が)決まるとは思っていませんでした」



アスペルガー症候群を抱える山内さん。

就職活動を始めて2社目の応募で内定を決め、今年6月に入社しました。


現在、嘱託社員として人事総務部に所属し、主に伝票整理や社有車の管理などを行っています。



相手の気持ちを考えて話したり、電話をかけたりするのが苦手と感じている山内さんは、自分の障がいのことを踏まえ、大学を卒業した後はビジネスマナーやパソコンのスキルなどを身につけた上で就職活動を行いたいと思い、就労支援施設に通っていました。



施設に通い始めてから1年2ヵ月、就労支援施設からこれからの就職活動に向けて紹介されたのが、障がい者雇用を支援するサービス「MyMylink」でした。




「障がい者と企業の応援団」。


MyMylinkが掲げるコンセプトです。



MyMylinkを運営するスタートラインは、他にもオフィスの一角を企業向けに貸し出し、その企業が雇用する障がい者をMyMylinkのスタッフがリアルタイムでサポートする「サテライトオフィスサービス」を展開しているのも魅力でした。


MyMylinkは、障がい者雇用を行う企業の求人情報がわかりやすくまとめられており、自分にふさわしい会社を検索する事も出来るので、就職に向けては大きな武器になります。


それと並行して、同社側で随時行われているのが、プロのコンサルタントによるマッチングです。



生まれて初めての就職面接、結果は…


MyMylinkへの登録を済ませた山内さん。早速履歴書を作成して専門のスタッフとの面談を行い、希望する仕事や通勤できる範囲などをしっかりと伝えました。



そして、1社目の選考。



結果は——————不採用。



残念ながら内定をもらうことは出来ませんでした。


生まれて初めての面接。初対面の企業の方を目の前にして、うまく自分の事をアピールすることが出来なかった山内さん。


「1社目の面接では、緊張してうまく笑えませんでした」(山内さん)



少し落ち込んでいるように見えた山内さんを励ましたのは、MyMylink事業チームに所属する三木あずささんでした。



「大丈夫、2社目は切り替えていこうね」



そう明るく声をかけてくれたことで、引き続き頑張ろうと思えたと、山内さんは話します。



ちょうどその頃、MyMylinkに、ある会社から一本の連絡が入ります。


「事務関連のお仕事で、障がい者の社員に欠員が出たため募集を始めたところなのですが、この方はいかがでしょうか。」


MyMylinkは、提携先の企業に求職者情報などお知らせするメールマガジンを配信しています。それが先方の人事部課長の目に留まり、山内さんに声がかけられたのです。



面接は、事前準備もしっかりと。


「MyMylink」は、求職者である障がい者へも、採用する企業側へも様々なサポートを行っています。


求職者とは面談を行い企業を紹介するほか、模擬面接の実施や面接日の調整、面接の同行なども行っています。


企業側へは、面談を行う前に予め障がいの内容や今までの就業経験などを伝えることで、より深く求職者の特性を理解してもらえるように働きかけます。


アドバイザーの三木さんは、山内さんの面接に対してもしっかり「事前準備」を行いました。

山内さんの障がいの特性や面接時に配慮していただきたい点などを予め企業側に伝達します。



「質問の内容を整理するのに時間がかかる場合があります」


「質問をされる時は、端的な質問の方が答えやすいと思います」



このような細やかな説明を経て、当日の面接が行われました。


その時の様子を、面接を担当した人事部の方に伺いました。



「障がいのことについて本人に尋ねていいのかどうか、などは基本的なことですが、企業としてはそんなことから判断に迷うわけです。


三木さんが山内君と当社の橋渡し役を担ってくれたのは助かりました」


MyMylinkに登録した際に、実際に接してくれるエージェントの方々は就労支援のプロ集団。


障がいに対しても専門分野であり、慣れない障がい者の雇用や配慮すべき点、サポートを必要とする場所なども相談することが出来るので、企業にとっても頼れる存在なのです。



「障がいに関して、専門知識がある方に(配慮やサポート面で必要な内容などを)相談できるというのは、非常に心強く感じています」(人事部課長)




障がい者の「特性」を見つめる時間

アドバイザーの三木さんは今回、選考過程として、面接の後に企業での実習を組み込むことを提案しました。


実習を通して、山内さんには企業の雰囲気や仕事の内容を少しでも知ってもらい、また企業にも山内さんの得意なことや苦手なことを確認してもらいたかったからです。



「お互いにとって不幸な採用にならないよう、共有する情報を増やしてほしいと思いました」(三木さん)



実習を行った10日間は、企業にとっても山内さんの特性を知ることができた有意義な期間となりました。


山内さんにぜひ当社で働いてほしい、採用したい、という気持ちが大きくなっていったのです。



「実習期間で、エクセルでのデータ入力やパワーポイントを使った資料作成などのパソコンスキルがあることを知ることができました。



一方で、一緒に働く上での課題が見つかったのも大きかった。お陰で採用後の仕事の割り振りを具体的にイメージすることができたのです」(人事部課長)




採用する側もされる側も、双方の疑問を解決し課題を早めに認識しておくことは、長く仕事を続ける上で必要不可欠なことです。


そのことを一番良く知っている三木さんが提案した「実習」を通して得たものは、山内さんにとっても、企業側にとっても大きかったようです。





そして、山内さんは今、「大好き」だと言う電車に毎日揺られながら、会社に通っています。


同じ部署の佐伯健児さん(仮名)ともう一人の社員の2人が山内さんの指導役を担い、山内さんに仕事の指示やアドバイスをしています。


担当の佐伯さんは話します。



「障がい者を雇用する企業の中には法定雇用率を守るための人数調整に終始しているところもあるかもしれませんが、それでは入社した人のためになりません。


確かに、電話対応などの苦手なことが山内さんにはありますが、得意なことと苦手なことを企業が見極めて、会社がしてほしいことと本人の得意なことをすり合わせれば戦力になり得ると考えています」



会社に入社してから3ヵ月。山内さんも自分のことが徐々に見えてきたと言います。


「同時並行で複数の仕事をするのが苦手だったり、注意力が低かったりすることが改めてわかりました。


その一方で、インターネットを使いながら調べものをするのは苦になりません。


周囲への感謝を忘れずに、あいさつと礼儀を大切にしながら、もっと成長していきたいです。」



障がい者が就職した後にも企業と障がい者をフォローしており、互いが直接相手に言いづらいことをヒアリングするなどして、障がい者が働きやすく、また企業が雇いやすい状況をめざして日々成長と進化を続けているMyMylink。



「障がいのある人が働きやすい社会をつくることが当社の最大目標。対面とインターネットを活用した遠隔でのサポートを通じて、企業と求職者双方にとってのスタートライン(出発点)になりたいと思っています」(三木さん)



障がいを持つ方々の新しいスタートを演出し続ける三木さんの笑顔には、一点の曇りもありませんでした。

著者情報

治療ノート編集部
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