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インフルエンザって何が怖いの? 予防接種はうったほうがいい? あまり知られていない合併症など、インフルエンザの基礎知識。

今年もインフルエンザ流行の季節がやってきました。インフルエンザと言えば、冬季の代表的な感染症のひとつです。高い熱が出て、呼吸器症状など風邪のような症状が出る、ということはよく知られていますが、合併症にはあまり知られていないものもあります。ワクチンは打ったほうがいい? A型とB型の違いは? 診断・治療は? 新型インフルエンザってどんなもの? 色々な疑問にお答えします。

インフルエンザって何が怖いの? 予防接種はうったほうがいい? あまり知られていない合併症など、インフルエンザの基礎知識。


インフルエンザ、今年も流行の兆し


12月9日に、厚生労働省のプレスリリースは、11月28日から12月4日にかけてのインフルエンザ流行状況を発表しました。


それによると、第46週(11/14〜)からの3週間ほどで徐々に報告数が上昇してきているようです。報告数の総数は12,334人で、昨年の同時期の831人と比べると、流行の立ち上がりの早さがうかがえます。


流行に伴い、保育所や幼稚園、小中学校で休校や学級閉鎖が相次いでおり、これらの件数も292件と、昨年同時期の14件を上回っています。


この記事をお読みになっている皆さまも、まだ12月だから、と思わずにくれぐれも注意し、うがいや手洗いなどの感染予防に励むのがよいでしょう。


参考元①:厚生労働省、インフルエンザ発生状況(平成28年第48週)

参考元②:厚生労働省、インフルエンザ発生状況(平成27年第48週)




インフルエンザってどんな病気?


毎年冬季に大流行するインフルエンザ。感染症の中で最も有名なもののひとつといっても過言ではありません。


インフルエンザは、インフルエンザウイルスによって引き起こされる、上気道を中心とするウイルス感染症です。


インフルエンザウイルスは、直径が100nm(ナノメートル, 100nm=1万分の1mm)の球形をしたウイルスです。インフルエンザウイルスには、A型、B型、C型の3タイプがあり、流行するのはA型とB型です。


A型ウイルスは、細胞表面に赤血球凝集素(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)という糖蛋白があり、HAには16の亜型が、NAには9の亜型があり、これらが毎年小変異することにより、人の免疫機構をかいくぐり、毎年のように流行を繰り返しています。


また、数年〜10年くらいで、亜型が突然変わる大変異を起こすことがあり、急速な感染拡大及び大流行を引き起こすことがあります。A型ウイルスは、ヒト以外にも宿主をもち、ブタやトリ、ウマなど、自然界に比較的広く存在しています。


これに対してB型は、宿主はヒトのみといわれています。また、B型がA型と異なるところは、細胞表面蛋白であるNAとHAのタイプがそれぞれ一つずつしかなく、したがって変異もA型ほど頻繁には起こりません。




インフルエンザの症状、ふつうの風邪とどう違う?


「ふつうの風邪」も、一般的にはウイルスによって引き起こされ、のどの痛み、鼻水、咳などの上気道症状を引き起こすことがあります。


様々なタイプのウイルスが風邪症状を引き起こしますが、普通は検査をしてウイルスを証明することはしませんし、数日で症状が軽いままなおってしまうのでその必要もありません。


インフルエンザでも、風邪と同じように喉の痛みや咳などの上気道症状を呈することは多いですが、それに加えて38度以上の高い発熱や、全身症状を引き起こすことが特徴とされています。


全身症状とは、具体的には頭痛や筋肉痛、関節痛、全身倦怠感などがあり、インフルエンザではこれらの症状が比較的急速にあらわれてきます。




気になる合併症は? 重篤化することも


合併症はいくつかありますが、いずれも、重篤化すると生命の危険があります。


1.髄膜炎

インフルエンザなど、細菌以外のウイルスなどの感染により起こる髄膜炎を、無菌性髄膜炎と言います。インフルエンザ感染後に、強い頭痛が続いたり、首が曲げにくいなどの症状が持続するような場合には髄膜炎を発症しているかもしれません。腰椎穿刺をして、髄液を調べることで診断します。



2.肺炎

インフルエンザウイルスにより引き起こされる肺炎と、細菌による二次感染によって引き起こされる肺炎があります。後者のほうが頻度が高いといわれています。インフルエンザによって抵抗力が低下することにより、細菌感染が起こりやすくなると考えられています。抵抗力のない高齢者に起きやすいです。


発症後4-5日を過ぎても熱が下がらず、咳やたんなどが続くときには肺炎の合併を考える必要があります。胸部レントゲン写真やCTなどの画像診断や喀痰検査・培養によって診断します。細菌性肺炎の場合には、抗生剤を投与する必要があります。



3.インフルエンザ脳症

小児に起こりやすい合併症です。脳にウイルスが直接感染するのではなく、感染によりサイトカインなどの炎症に関与する物質が産生されて引き起こされると言われています。死亡率は10%, 後遺症が残る確率は25%程度と言われています。1-5歳の小児で、インフルエンザ感染後、意識障害があったり、けいれんや行動異常がみられた場合には脳症を疑う必要があります。


また、関連する疾患として「ライ症候群」があります。インフルエンザや水痘などの感染後に急性脳症と肝臓の脂肪浸潤を起こす病態で、解熱剤として使用されるアスピリンなどのサリチル酸製剤が発症にかかわっているともいわれています。




どうやって診断するの?


「迅速診断キット」を用いて、鼻腔の拭い液をとって調べる方法が一般的です。


キットを用いると、10〜15分程度で結果が出ます。ウイルスの量によって検出できない場合があるので、十分にウイルスが増える発症から12時間後以降を目安に行うといいでしょう。


また、あとで述べますが、タミフルやリレンザなどの抗インフルエンザ薬の投与開始時期が発症後48時間以内となっていますので、発症後12時間〜48時間を目安に検査を受けたいところです。


突然の高熱で、ひょっとしたらインフルエンザ? とおもったあなた、半日経過後〜2日以内に病院を受診するとよいでしょう。




治療法は?


治療薬としては、タミフル(一般名:オセルタミビル)、リレンザ(一般名:ラリナミビル)、イナビル(一般名:ラニナビル)、ラピアクタ(一般名:ペラミビル)などがありますが、これらの薬は発症後48時間以内に服用することが推奨されています。タミフルは内服薬、リレンザとイナビルは吸入薬、ラピアクタは点滴薬です。


11月24日、厚生労働省の検討会議にて、タミフルの保険適応が0歳児にまで拡大されました(これまでは1歳以上)。0-5歳の小児では、原則としてタミフルを使用することになります。10-19歳の小児に関しては、異常行動の報告があるため原則使用禁止となっていましたが、厚生労働省の調査で直接の因果関係が示されておらず、今後解禁も含めて検討されるようです。


イナビルやリレンザなどの吸入薬は、適切に吸入できるかという観点から、5歳以上で処方されることが多いようです。点滴薬のラピアクタは、経口投与が困難な人に使用されます。




解熱剤は使っていいの? アスピリンは使用控える


脳症のところでも述べましたが、「ライ症候群」の発症にアスピリンをはじめとするサリチル酸製剤が関与しているといわれています。


インフルエンザのときには、この種類の解熱剤を15歳以下の患者に対しては使用しないように勧告されています。サリチル酸製剤というと、バファリンが有名ですが、病院で処方されるピーエイなどの風邪薬や市販薬にも含まれていますので、うちの子インフルエンザかも? と思ったら、安易な市販の解熱剤の使用は避け、医師に相談したほうがよいでしょう。


また、サリチル酸の他にも、15歳未満に使用しないようすすめられている薬剤があります。ボルタレンなどのジクロフェナクナトリウム製剤、ポンタールなどのメフェナム酸製剤です(厚生労働省資料より)。これらの薬剤は、成人に対しても処方されることは少ないようです。


では、どうしても熱を下げたい、というときにはどうしたらよいのでしょうか? カロナールなどのアセトアミノフェン製剤は使用してもよいとされており、よく処方されます。インフルエンザのときには、使用する解熱剤の種類に注意を払ってくださいね。




学校や仕事は休むべき? 学校などの主席停止期間について


保育園や学校では、インフルエンザは法律の定めに従って出席停止となります。


幼児と小学生以上では、休む期間に違いがあるのでご注意くださいね。


保育園、幼稚園

1. 発症後5日経過していること。

2. 解熱後3日経過していること。



小学校〜大学

1. 発症後5日経過していること。

2. 解熱後2日経過していること。


いずれも、1および2を満たしている必要があります。

仕事に関しては、出勤停止を定める法律はないので、職場の内規を調べる必要があります。




ワクチンは打ったほうがいい? インフルエンザを予防するには



なってしまうと怖いインフルエンザ、だれしも、あらかじめ予防したいものです。


マスクをしたり、手洗いを徹底したりなど、日常生活でも心がけたいものですね。インフルエンザの予防手段としては、他に、ワクチンがあります。


ワクチン接種は効果がない!? という情報がウェブ上では散見されますが、実際はどうなのでしょうか。インフルエンザウイルスは変異スピードが早く流行予測も外れることがあるので、ワクチン接種をしても、ワクチンに含まれない型のウイルスに感染すると発症してしまいます。


しかし、WHOはワクチンの効果を認めており、特に高齢者においては、「完全に予防することはできないけれども重症化を防ぐ点で有効」と述べています。また、妊婦、6ヶ月〜5歳の小児、65歳以上の高齢者、慢性疾患を持っている人、医療従事者に特に接種を勧めています(WHOの資料より)。


2016年のインフルエンザワクチンは4価ワクチンとなっており、流行が予測されるA型2種類、B型2種類を混ぜた内容となっています。生後6ヶ月から接種でき、厚生労働省により、13歳未満は2回接種と定められています。


また、1月には流行のピークがやってくるので、12月までには済ませておきたいものです。

プロフィール

松村 むつみ(まつむらむつみ)
医師(放射線診断専門医、旧姓の則武睦未で診療を行う)、メディカルライター。エビデンスに基づいた情報を広く一般に届けるよう日々研鑽を続けている。

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