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人気モデル栗原類さんが発達障害に向き合ってきた日々を綴った自伝本を発表、その経験から障害を学ぶ

独得の佇まいや発言でテレビでも人気のモデル、栗原類さん(21)が今月6日、自伝本『発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由』(KADOKAWA)を発表しました。発達障害と診断された類さんがどのような生きづらさを抱え、どうやって乗り越えてきたのか…幼年期から現在までが自身の言葉で詳細に綴られています。発達障害は人によって障害もその対応も異なりますが、類さんの経験から手がかりが得られるかもしれません。多少のネタバレを含みますので、書籍をご一読後に本コラムをお読みください。

掲載日:2016年10月27日

人気モデル栗原類さんが発達障害に向き合ってきた日々を綴った自伝本を発表、その経験から障害を学ぶ


注意欠陥障害(ADD)とは何か


栗原類さんは、昨年、テレビ番組「あさイチ」で、8歳の時に「ADD(注意欠陥障害)」と診断されたことを公表しました。


この告白により多くの方々から「ありがとう」というメッセージをもらったと言います。そして、1年以上かけて自分自身を振り返り、書き上げたのが、本著『発達障害の僕が輝ける場所をみつけられた理由』です。


巻末には、親交のある芸人で作家の又吉直樹さんとの対談も掲載されていています。


類さんは、2002年当時、アメリカで検査を受け、米国精神医学会の「精神障害の診断と統計マニュアル(DSM-IV-TR)2010年」に基づいて、ADDと診断されました。


子どもの頃の類さんには次のような特徴(症状)がありました。


●感覚過敏(特に物音に敏感) 


●強い「こだわり」がある


●「触感」に敏感 


●注意力散漫で忘れ物が多い 


●二つの動作が同時にできない 


●記憶力が弱い 


●感情表現が苦手、無表情に見えがち 


●人の心の動きを読み取るのが苦手


代表的な発達障害である「注意欠陥・多動性障害(ADHD)」には、「多動性・衝動性優勢型」「不注意優勢型」「混合型」があります。類さんが診断されたADDは「不注意優勢型」の通称です。


主治医である高橋猛医師は、初診時の類さんは、ADHDを中心にLD(学習障害)や広汎性発達障害などいろいろな要素が重なって現れていて、精神遅滞はなく、知能指数は高い状態だったと述べています。


ADHDと診断された場合、病院(精神科)でのカウンセリングや投薬による治療を行います。


類さんの場合は薬の処方はなく、主治医のカウンセリングを継続的に受けています。




小1の時の担任との出会いが俳優を目指すきっかけに


小学生時代はアメリカと日本を行き来していた類さん。


当時は衝動性が強く、人にバカにされていると思い込んでケンカをしてしまうことが多くあったようで、他人の笑い声が聞こえただけでも思わず「僕をバカにしているな」と感じてしまうことも多かったと告白しています。


冗談の通じない類さんに、ニューヨークの小学校で1年時の担任だったサンドラ先生は、「笑うことが悪いことではないという意識を持たせないと、人との関わりの面で問題が解決できない」「人とのコミュニケーションにおいてユーモアは欠かせない」と、コメディ番組を見ることを勧めます。


それは、類さんがコメディ番組にはまるきっかけになりました。クリストファー・ウォーケンやロビンウィリアムズ、元モンティ・パイソンのジョン・クリーズに大きな影響を受け、お芝居の面白さを感じた類さんは、のちに俳優の道を目指すようになります。

 

1年生の後半にサンドラ先生は、類さんに発達障害のテストを受けさせることを母の泉さんに勧めました。


多岐にわたるチェック項目の審査を経て、類さんはADDと診断されました。




訓練によって社会性を少しずつ身に着けることに成功


5年生のときに帰国して、日本の小学校に入学。


本人は「自分はみんなに害を与えるような行動や言動はしていないし、嫌われる要素は少ない」と思っていましたが、英語をブツブツ話したり、ファッションが違う類さんに周りは冷たかったようです。


また、アメリカでは生徒同士の問題は先生が監修するのが普通だったため、友達に言われたことを先生に報告して、その子に「チクるんじゃねーよ」と言われる繰り返しだったと明かしています。


中学校では上級生からのいじめによって、2週間ほど登校拒否になりました。そして、空気を読めないためか、同級生にも相手にされず、「最低の居心地」の3年間を過ごします。


発達障害者支援法の制定後で、スクール・カウンセラーとのミーティングを勧められ、しかたなくミーティングをしましたが、学校には信頼できる大人を一人も見つけられないまま毎日学校に通っていたと、当時の自分を振り返っています。


そんな類さんは、高校入学後に初めて「友達づくり」に挑戦しました。列の前の人に「すいません、今何時ですか?」と話しかけて、自分から仲良くなったのです。


これは、「シンプルな質問をするだけで、その人との距離を縮められる」ということを実感する体験になりました。学校の行事にも積極的に参加するようになりました。人の感情を読み取る力も少しずつ身についてきました。


これらはいきなりできたわけではなく、知っている人たちの中で過ごす義務教育の中に「訓練の期間があったから成功したんだと思う」と語っています。




具体的なアドバイスを繰り返し話して聞かせた母


母・泉さんは、空気を読めず、衝動性が強い類さんに、幼いころから「されていやなことは人にしない、言わない」「立ち止まって考えなさい、落ち着いて考えたら、人はそんなふうに考えていないことがわかる」「うれしいと思ったら、(表情に出ない分)言葉や行動で表現しなさい」といったアドバイスを繰り返しました。ドラマや映画を見て、一緒に表情を読み取る練習も行いました。


実は、泉さん自身にもタイプの違うADHDがあり、大人になってから自分で必死になって考えて、何度も恥をかき、何度も嫌な思いをし、何度も誤解されながら情緒面で人に追いつく努力を続けた経験がありました。


それを思い返し、「具体的に情緒的な視点で」指摘した方が良いと思ったそうです。


また、生活面でも、物事を忘れやすく、時間を守るのが苦手な類さんの行動を細かくサポートし続けてきました。小学生の後半くらいからは「自立への道」も意識して、少しずつ生活習慣の訓練も追加してきたと言います。


そんな泉さんも、類さんの「これもできない」「あれもできない」ばかりの状態に強いストレスを感じた時期もあったそうです。


でも、子育ては20年、30年と長く続くもの。そういう時期を経た泉さんの「この1年だけ頑張るのではなく、この子が生きやすく、幸せに生きられるために、毎日できることは何か? を考えるのです」という言葉は、非常に印象的です。


また、泉さんは、類さんの将来についての望みは、ただ一つだと言い切ります。


それは「幸せになってほしい」ということ。


周りに流されず、自分の子供にとってベストな選択してきたことが、今の類さんの活躍を支えていることは間違いありません。




できることは長い期間で増やせる


今や、夢に思い描いた道を着実に歩んでいるように見える類さん。


現在まで発達障害と向き合ってきた道のりを振り返って、脳のクセを知り、徐々に訓練すれば、できないことができるようになることを最近、実感しているようです。


類さんの場合、手先が不器用、注意力散漫、集中力が低い、記憶力が低いといった弱点を克服するための訓練を早期に開始することができました。


頑張ってもまだできないことも多いようですが、13年前、5年前、2年前を振り返ってみると、当時は困難なことでも今できていることはたくさんある、「この先もずっとそうなんだろうと思う」と類さんは言います。


また、小学生の時にどんなに練習しても靴紐を結べなかったけど、高校生になり再挑戦してみたらなんとか結べるようになったように、「長い時間でできるようになればよいと考える」こともできます。


さらに、できるようにならなくても、対処法さえわかれば「苦手なことがいくつあってもなんとかなる」という類さんの言葉は、とても前向きで、力強く感じられます。




あきらめていた自分の目標を再び目指すキッカケになれば


発達障害が生じる原因は特定されていません。


発達障害者支援法の施行から12年になりますが、世間の理解も思うように進んでいないのが現状です。発達障害にはさまざまなタイプがあり、具体的なイメージを持ちにくいことも病気への理解や支援を難しくしている一因とされています。


泉さんも、発達障害は人によって対処法が違うため、「今後、周囲に理解を促すときには注意が必要だ」と言います。「類にとってよかったことが、発達障害の子、みんなにあてはまるわけではない」からです。


それでも、類さんの発達障害の公表は、たくさんの発達障害児やその家族から支持されました。類さんは、「伝える」ということの大切さに改めて気づいたそうです。


そして、この本を「一つの例として参考にしてもらえたら、そして気持ちが少しでも楽になったり、あきらめていた自分の目標を再び目指すキッカケになってくれたらすごくうれしいです」と結んでいます。


私たちもそんな謙虚な類さんの活躍を応援していきたいですね。


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治療ノート編集部
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