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認知症の運転、大丈夫? 法改正で認知症検査が免許更新で必須に!

年々増加している認知症患者数。それにともなって認知症患者による“自動車運転”が社会問題化しています。2017年に施行される法改正で認知症のチェック(検査)などが追加され、国を挙げて認知症患者の危険運転に警鐘を鳴らしています。さまざまな注意点をまとめて解説します。

掲載日:2016年09月21日

認知症の運転、大丈夫? 法改正で認知症検査が免許更新で必須に!


年々増加の傾向、認知症患者数


国民の4人に1人が65歳以上(2015年国勢調査より)という、世界でも類を見ない“超高齢化社会”へ突入した日本。そんな中、認知症の患者数も年々増加の傾向を見せています。


厚生労働省発表によれば、2025年には我が国の認知症患者数は700万人を超えると推計されています。


街を歩けば認知症の方と出会う、といっても過言ではない状況がすぐ目の前に迫ってきているのです。少なくとも認知症に関する基礎知識は知っておきたいですね。



認知症と痴呆症… どう違うの?


「認知症って、痴呆症のこと?」と疑問に思われた方もいらっしゃるかもしれません。そう、実は認知症と痴呆症は同一のものなのです。


認知症は、ひと昔前までは痴呆症と呼ばれていて、これが差別的表現であるとして厚生労働省が2004年12月から認知症に改名した経緯があります。


そして、認知症にもさまざまな種類があることをご存知でしょうか?

主なものとしては…


アルツハイマー型認知症


脳血管型認知症


レビー小体型認知症


前頭側頭型認知症


などが挙げられます。


アルツハイマー型認知症はよく耳にするので、認知症=アルツハイマーだと思いがちですが、実は他にもいろいろと種類があります。


割合として多いのは、やはり有名なアルツハイマー型認知症ですが、認知症もしくは、認知症に近い症状を発症する病気は多種多様で、しかも明確な判断をつけるのが難しいというのが特徴です。


リハビリなどで回復する場合や、進行速度を抑えられるものもあります。




認知症の増加によって多発する交通事故


認知症患者には、多くの問題点があります。単なる物忘れから始まり、感情のコントロールがうまくいかなくなったり、徘徊したりなど… 進行状態によってさまざまな問題が出てくる中で、現在とても問題視されているのが、認知症患者の車の運転による交通事故です。


昨年10月に起きた、宮崎県での認知症患者の事故などは記憶に新しいところです。




重度の認知症患者であれば、家族などのケアで運転することを制限できますが、軽度の認知症患者に関しては、本人はもとより家族も判断に困ります。


70歳以上の免許更新時には高齢者講習を受ける義務があり、そこで適正チェックは行われますが、認知症チェックは行われません。


物忘れ外来など、専門機関で検査などは行えますが、軽度の認知症患者が自分から進んで専門機関に受診することは、よほど家族の勧めがない限りほとんどないに等しい状況です。


そういった軽度の認知症患者が、高齢者講習をパスし、ごく普通に車の運転をできてしまっているというのが現状です。




高齢者の免許更新について


では、高齢者免許の更新手続きとはどんなものなのでしょうか?



70歳から74歳までの高齢者講習


70歳から74歳までの高齢者の運転免許証の更新には、高齢者講習を受講することが必須です。


ところで高齢者講習には、いくつか種類があることをご存知でしょうか?


・高齢者講習

・シニア運転者講習

・チャレンジ講習

・特定任意高齢者講習

・運転免許取得者教育


などが挙げられます。それぞれの内容は警視庁のサイトでも記載されており、確認することができます。


所要時間や費用などもそれぞれ違い、講習を受けることによって高齢者講習が免除になったり、逆に規定をクリアしなければ受けられなかったりする講習もあるので、受講内容をよく確認してから受講手続きを行ってください。



75歳以上の高齢者講習


では、75歳以上になると、どのような更新手続きになるのでしょうか?


75歳以上の高齢者に関しては、高齢者講習と認知機能検査を受けなければならないとされています。


認知機能検査とは、記憶力や判断力を測定する簡易な検査で、以下の3項目があります。


1. 時間の見当識

検査時の年月日、曜日及び時間を回答します。

2. 手がかり再生

16種類の絵を記憶し、何が描かれていたかを回答します。

3. 時計描画

時計の文字盤を描き、指定された時刻を表す針を描いていただきます。


検査結果は、即日、検査終了後にでます。


こちらも詳細情報は警視庁のサイトに記載があるので、ご確認ください。


※「75歳以上の高齢者講習」の項目については、2017年4月24日に情報を更新しました。




認知症患者の運転対策 〜道路交通法改正へ〜



現状の法律では、交通違反があった人のみ医師の診断が義務づけられており、その結果、認知症の診断があった場合に免許の停止や取り消しが行われていました。しかしそれでは、交通違反がない場合、そのまま免許が更新され、認知症が見逃されてしまうケースも考えられます。


そしてそれが、大きな事故に繋がるような事態を招いてしまう要因にもなりかねません。


それらの現状を重く見た警視庁は、道路交通法改正案を立案し、政府はその法案を可決しました。


新法案は、75歳以上の免許更新時に認知症検査を実施したり、「疑いあり」と診断された高齢者に関しては、医師の診断義務が発生したり、発症が発覚した場合、免許の停止及び取り消しなどの措置を盛り込んだ内容となっています。




高齢者の危険運転、やめさせるにはどうしたらいいの?


法律改正の動きがあったとしても、認知症患者の運転を家族が規制するのはとても難しいことです。


治療ノートにも認知症の高齢者の危険運転に関する体験談が寄せられています。


認知症の体験談/70代以上女性のご家族より

私の祖母が認知症を発症しました。初期症状としては、まだ使い切っていないのに同じものを何度も買ってくる、自動車運転事故を度々起こすといったことがありました。

家族はもちろん異変に気付き免許証は返上させましたが、本人は自分に異変が起こっていることに気づかず、車を取り上げられたと言って不満そうでした。

それからしばらくして会話が通じにくくなったり、家族の名前を思い出せなくなったりといった症状が出始め、受診に至りました。

https://www.c-notes.jp/diseases/dementia/experiences/6645



認知症であるないかかわらず、この事例のように運転免許を返納する「自主返納」という制度があります。


自主返納すると、運転経歴証明書を発行してもらえます。


この運転経歴証明書は身分証明書にもなり、引っ越しや食事の割引、自治体によってはタクシーやバスの割引制度など、さまざまな優遇制度があります。


運転免許を返納することによるメリットを本人に上手に伝えて、返納をすすめることも危険運転を回避する一つの方法です。


高齢者運転免許証 自主返納メリット一覧

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotsu/jikoboshi/koreisha/shomeisho/support.html




認知症患者が事故を… 保険はどうなる?


認知症患者が事故を起こしたとしても、賠償責任は問われます。


そして保険会社の定款によっては、認知症と診断されている患者が事故を起こした場合、せっかく加入していた自動車保険でも保険金が受け取れないというケースもありえます。


保険が下りる下りないの問題ではなく、家族には認知症患者に対する監督義務があり、認知症と周知しているのであれば、車の運転は止めさせるべきだと言えます。


車を運転しなくなることによって認知症が進むのではないか? 社会との繋がりが絶たれてしまうのではないか? そして何より本人をうまく説得して運転を止めさせることは決して簡単なことではないと思います。


しかし、事故を起こしてしまってからでは遅いのです。


加害者となり、被害者に多額の損害賠償を支払わなければならない可能性もあります。


認知症の疑いがあるなと感じた時点で、家族は運転中止、ないしは極力運転を控えさせるようにしなければなりません。


それでも勝手に運転してしまう場合は、思い切って車自体を手放してみるのも一計です。その他の便利で安全な移動手段・移動経路などを探してあげるのもよいでしょう。


今回の法改正で、どこまで認知症患者の車の運転を規制できるかはまだ未知数ですが、少なくとも、認知症を患ったら車の運転は控えましょうと警鐘を鳴らしていることは確かです。



参考情報:

高齢者講習(70歳から74歳までの方の免許更新)(警視庁)

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/menkyo/koshu/koshu/under74.html

高齢運転者に関する交通安全対策の規定の整備について(平成29年3月12日施行)(警視庁)

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/menkyo/koshu/koureisha_anzen.html

運転免許の自主返納をサポート(警視庁)

http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kotsu/jikoboshi/koreisha/shomeisho/henno.html

講習予備検査(認知機能)について(警察庁)

https://www.npa.go.jp/annai/license_renewal/ninti/


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著者情報

治療ノート編集部
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