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内部障害者とは? どんな配慮が必要…?

「内部機能障害」… 普段はあまり耳にしない言葉ではないでしょうか? 障害といえば、先天的な聴覚障害や視覚障害、肢体不自由などの症状をイメージしてしまうかもしれません。今現在健常な身体である人は、自分には関係のないことのように思えてしまいます。しかし、健康体の人でも、"内部機能障害"は決して他人事ではありません。なぜならば、がんや心臓病、肺気腫、腎臓病、肝硬変など、誰しもかかる可能性のある大病が、実は内部機能障害の引き金になるかもしれないからです。どんな障害なのでしょうか? まずは、心臓機能障害のせいで過去に何度も転職を余儀なくされたAさんのお話です。

掲載日:2016年11月09日

内部障害者とは? どんな配慮が必要…?


内部機能障害者の困難~職場での弊害~


「会社では、私だけが残業をせずにいつも定時で仕事を終えて帰ります。忙しい時期になると、定時あがりはいつも残業している同僚への手前とても気まずい思いをします」


そう語るのは、がっしりとした体格で見るからに働き盛りの男性Aさん。


そんなAさんの心臓には、人工弁が装着されています。


Aさんが患っているのは身体障害者福祉法の対象に分類される内部機能障害。


心臓、腎臓、肝臓、呼吸器、膀胱・直腸、小腸、HIV(免疫機能)の7つの種類の器官障害のうち、Aさんは心臓の機能に障害のある心臓機能障害を持っています。



【障害で退職勧告されたAさん】

38歳の頃に弁膜症を患った茨城県在住の会社員Aさん。


弁膜症とは、心臓の弁が壊れることが原因で、血液がまともに循環しなくなる病気です。70歳を超える高齢者に多く診られ、Aさんの場合は弁膜症患者全体の数%というかなり稀なケースとのこと。


Aさんは、国の障害年金の認定基準では3級に認定されており、一般状態区分は"軽度の症状があり、肉体労働は制限を受けるが、歩行、軽労働や座業はできるもの。 


例えば、軽い家事、事務など"(※障害年金 一般状態区分評イに該当)に当てはまる症状です。

※障害者手帳にある1級~6級までの等級と障害年金の等級は別物です。


手術で人工弁の装着に成功し社会復帰を果たしましたが、長時間の立ち仕事や、重い物を運び続けるといった身体に大きな負担をかける業務はこなせません。


無理をしてしまうと、心臓に過度な負担がかかることで、息切れや動悸、ひどい時には呼吸困難などが起こり、症状の悪化を招く恐れがあります。


同僚が忙しい思いをしている中、自分だけが残業をせずに帰ることに心苦しく感じてしまうそうです。


「今の職場は上司も同僚も私の心臓機能障害に理解があり温かい支援を頂いているのですが、以前勤めていた会社では理解が得られず、やむなく退職をすることになりました。」


Aさんは、今の会社に就職するまでに、他の会社を3回転職を繰り返しました。その中には残業を断ったことで自主退職を勧告された時もあったそうです。



【日常生活における内部障害者の困難】

Aさんのような職場での悩みだけではなく、日常生活においても困難にぶつかる内部障害者もおられます。


例えば、ペースメーカーを装着した患者さんには携帯電話のような電磁波を放つ機器がそばにあるのは危険です。


酸素ボンベが必要な呼吸器機能障害を持つ人のそばで、タバコを吸うと症状を悪化させるばかりでなく、酸素によって引火する危険性があります。


電車の優先席に座っていると、「若いのにそこに座っているのは見苦しい」などと誤解を招くこともあるそうです。


こういった困難は、内部機能障害への周囲の理解と支援が広まれば、少しずつ解決していくのではないでしょうか?




内部機能障害に対する"周囲の理解と支援"を広げる



内部機能障害は外見ではわかってもらえないため「見えない障害」ともいわれています。


携帯電話などの電磁波を避けなければならないペースメーカーや、風邪をうつされると症状が悪化しやすい腎臓機能障害など。


内部機能障害を持つ人は、日常生活の中に症状を悪化させる危険が潜んでいます。そのため、身近に内部機能障害を持つ人がいるのであれば、できる限りの配慮が必要です。


東京都羽村市市役所が、症状別で内部機能障害のある方への配慮についてまとめていますので、ぜひ参考にしてください。(詳細は、ページ下部参考情報をご確認ください。)


【勤務時間中での上司・同僚の理解】

残業や過重労働を頻繁に担当することは、身体への大きな負担になります。


また、勤務中に通院しなくてはならない場合には、仕事を代わりに請け負う同僚の理解も必要です。


そこで不平不満が生じないように、企業は内部機能障害を持つ人を残業の少ない部署に配置したり、無理のない勤務シフトを組むことが求められるでしょう。


【"マーク"を着用された方への配慮】


●ハート・プラスマーク

特定非営利活動法人ハートプラスの会が推進する"ハート・プラスマーク"は、身体の内部に障害を持つことを周囲に知らせるマークです。


法的効力はありませんが、周囲の人がマークを認知して患者への正しい理解を持つことで、マークを必要とする人の助けになるでしょう。


●ヘルプマーク

一方、ヘルプマーク(ヘルプカード)というものも、東京都福祉保健局が発行を推進中です。


こちらは、義足や人工関節を身につけている人や難病、内部機能障害、妊娠初期などの支援が必要な方を対象に発行しています。


また、治療noteの別コラムでもカードの役割について詳しく説明しています。


関連ページ:知っておきたい「ヘルプカード」の役割と注意点

https://www.c-notes.jp/articles/31



●オストメイトマーク

もう一つは、オストメイトマークと呼ばれるもの。


オストメイトマークとは、人工肛門や人工膀胱を装着している人(オストメイト)に対応しているトイレに表示されたマークです。


これらのマークが広く認知されれば、とっさの場面での配慮がしやすいと思います。(マークの詳細はページ下記にある参考情報をご参照ください。)


【事業者側がおこなうべき配慮】

平成28年4月に施行された改正障害者雇用促進法に基づく「障害者差別禁止指針」と「合理的配慮指針」。


これによると、事業主が障害者を不当に差別しないようルールが設けられています。


合理的配慮というのは、障害のある人が求人に応募しやすいよう事業者側が配慮することであり、採用後に働きやすい環境を作る必要があるということです。


厚生労働省のホームページに、指針のポイントが記載されています。(詳しくは、ページ下部参考情報をご確認ください。)


このルールの施行により、雇用する側にこれまで以上の配慮が求められることになります。


Aさんが過去に経験した内部機能障害を理由とした退職勧告は、今後許されないということです。


少し強引な気もしますが、まずは事業主が十分に認識しないといけないということでしょう。




まとめ


今後、高齢化が進むにつれ、内部機能障害を持つ人の数も増加することが予想されます。そんな中、障害への周囲の理解はまだまだ浅く、十分には広がっていません。


まずは、内部機能障害とはどのような症状なのか?


障害を持つ人はどのような困難と向き合っているのか?を知っていただき、少しでも支援の輪を広げられたら幸いです。



参考情報:

内部機能障害のある方と出会ったら(羽村市HP)

http://www.city.hamura.tokyo.jp/0000004136.html

ハートプラスの会

http://www.normanet.ne.jp/~h-plus/

ヘルプマーク(東京都福祉保健局)

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shougai_shisaku/helpmark.html

障害者に関するマークについて(内閣府)

http://www8.cao.go.jp/shougai/mark/mark.html

改正障害者雇用促進法に基づく「障害者差別禁止指針」と「合理的配慮指針」を策定しました(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/stf/houdou/0000078980.html


著者情報

治療ノート編集部
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