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療育手帳とは? 精神障害者保健福祉手帳との違いは… 知っておきたいメリットや申請方法

「療育手帳(りょういくてちょう)」をご存知ですか? 地域によっては「愛の手帳」「愛護手帳」とも呼ばれているこの手帳を使用することで、知的障害のある方と介助するご家族の、日常生活におけるさまざまな負担を軽減することができます。今回はぜひ知っておいていただきたい、療育手帳を取得する方法やそのメリットについて、そして混同しがちな精神障害者保健福祉手帳との違いについてご紹介します。

この記事のあらすじ

  • 療育手帳の概要、交付の対象者は?
  • 療育手帳の具体的な申請方法
  • 電車や航空料金の割引など療育手帳のメリット
  • 精神障害者保健福祉手帳との違いは…
療育手帳とは? 精神障害者保健福祉手帳との違いは… 知っておきたいメリットや申請方法


97万人以上が交付を受けている療育手帳


「療育手帳」は知的障害を持つ方を対象に各自治体が発行している、障害者に関わる手帳のひとつです。


厚生労働省が報告している福祉行政報告例の概況の最新版(平成26年度)によると、現在手帳の交付を受けているのは約97.4万人です。そのうち18歳未満が24.6万人であり、交付者全体の約25.2%を占めていることになります。


この手帳は年齢に関係なく申請を行うことができ、知的障害を持つ方とその家族が日常生活における身体的、経済的な負担を軽減するための制度やサービスを積極的に利用してもらうことを目的としています。




交付の対象はどんな方?


まず厚生労働省が交付対象として公表しているのは「児童相談所又は知的障害者更生相談所において知的障害であると判定された者」です。


また総務省からは、


・広汎性発達障害(自閉症、アスペルガー症候群など)


・学習障害


・注意欠陥多動性障害


・その他脳機能障害


といった通常低年齢において発現する発達障害についても交付の対象であると発表がされています。


自閉症や学習障害等の発達障害や高次脳機能障害の場合には精神障害者保健福祉手帳の交付対象にもなります。そのため人によっては療育手帳と精神障害者保健福祉手帳の2冊を取得している場合があります。




自治体によって制度が異なるので要注意


審査や制度に差があるのは、この制度が厚生労働省の出した「療育手帳制度について」というガイドラインに沿って自治体ごとに制定されたことに由来します。


このため地域によっては「療育手帳」という名称を使用しておらず、東京都、横浜市は「愛の手帳」、青森県・名古屋市は「愛護手帳」として交付しています。


また埼玉県のように2016年4月からこれまで使用していた「みどりの手帳」という名称から「療育手帳」への移行を開始した自治体も存在します。




取得から交付までの3ステップとは?


取得から申請・審査、交付までは大きく次の3つのステップで行えます。


1.市区町村の福祉・障害関連窓口に必要資料の申請を行う。


2.専門機関にて知能検査、日常生活の状況の説明を行う。


3.2の結果をもとに専門機関にて判定を行い、認定された場合には手帳が交付される。



まずは市区町村の窓口に相談!


1の申請窓口は基本的にお住まいの市区町村の役所です。申請の際には次の3つを持参するようにと指示する自治体が多いです。


・療育手帳交付申請(届出)書 (窓口や行政Webページにて配布)

・申請者本人の写真(縦4cm×横3cm正面脱帽)

・印鑑


これ以外にも医師の診断書等を求められる自治体もありますので、事前に窓口に確認をされることをおすすめします。



専門機関では知能検査や面談を行う


知能検査による知能指数(IQ)の測定と日常生活の様子から障害の程度を総合的に判断します。


年齢によって検査を受ける専門機関が異なります。


・18歳未満:児童相談所

・18歳以上:知的障害者更正相談所


各施設の名称は地域によって異なる場合があります。


検査の際には知的障害の状況を認識するため、


・保護者の同席

・通知表など子供の学力状況が客観的に記録されているものを持参


が望ましいとされています。


同席者がいることで症状の説明をより詳しく伺うことが可能となるからです。また本制度が「低年齢における症状の発現」を対象としているため、特に成人の申請者の場合には症状が現れたタイミングを知る意味でも重要となってきます。




検査をもとに障害の等級を4段階で決定


障害の程度を4段階で判断していきます。地域によって表現が異なり、最重度・重度・中度・軽度をA1,A2,B1,B2といった等級で表している地域もあれば、1,2,3,4という等級にしている地域もあります。これ以外の等級を使用している自治体もあります。


なおこの等級に当てはまらない場合には対象外と認定され、手帳は交付されません。


重度と中度の境界線となるIQは厚生労働省のガイドラインにそってIQ35としている自治体がほとんどです。今問題とされているのは軽度と対象外のボーダーラインです。国による明確な基準が示されておらず、各自治体に判断が任されているのが現状です。そのため線引きに差が生まれ、IQ70〜75と自治体によって異なります。




電車や航空料金の割引などのメリットがたくさん!


手帳を所持することにより各自治体が実施する福祉サービスの利用、公共交通機関や各種施設、企業が実施する割引・サービスの利用等の恩恵を受けることが可能となります。一部サービスでは等級ごとに割引や受けられる内容に差があります。


各種団体が公表しているメリットを下記にまとめました。


<各種手当や優遇>

・特別児童扶養手当

・心身障害者扶養共済

・公営住宅の優先入居

・生活福祉資金の貸付


<税における障害者控除・減税>

・所得税、住民税をはじめとする各種国税並びに地方税


<各種運賃の割引・減免>

・JR、私鉄といった鉄道各社

・バス

・タクシー

・飛行機 など


<公共料金の割引・減免>

・NHK放送受信料

・NTTの無料番号案内

・有料道路通行料金

・携帯電話使用料


これ以外にも地域の相談窓口の利用や有名テーマパークの割引や利用における優遇なども手帳の効果として知られています。詳細については各自治体、企業HPをご確認ください。




「精神障害者保健福祉手帳」との違いは?


「精神障害者保健福祉手帳」は精神障害・発達障害の方がいろいろなサービスを受けやすくすることを目的として交付されるものです。療育手帳と精神障害者保健福祉手帳との大きな違いは、以下の2点です。


(1)受けられる控除や割引の種類とその範囲


(2)手帳更新の期間


(1)については、療育手帳の方が控除や割引を受けられる範囲が広いとされています。特に精神障害者保健福祉手帳ではJRが運賃割引の対象外となっているので注意が必要です。


(2)については、法律によって精神障害者保健福祉手帳の更新は2年ごとと決まっています。療育手帳の場合には地域によって更新の間隔が異なるため、申請予定の自治体に確認をする必要があります。2〜5年を目安に更新する地域が多いようです。



参考情報:

障害者手帳制度(発達障害情報・支援センター)

http://www.rehab.go.jp/ddis/index.php?action=pages_view_main&block_id=5648&page_id=592&active_action=announcement_view_main_init#_5648

経済的な支援(みんなのメンタルヘルス)

http://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/promotion_4.html?open=fukushitechou

平成26年度 福祉行政報告例の概況(厚生労働省)

http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/gyousei/14/

精神障害者保健福祉手帳(みんなのメンタルヘルス)

http://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/3_06notebook.html

愛の手帳について(愛の手帳Q&A)(東京都心身障害者福祉センター )

http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shinsho/faq/techo_qa/qa.html

身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳所持者の主要福祉便覧(広島市)

https://www.pref.hiroshima.lg.jp/uploaded/life/267849_613297_misc.pdf

知的障害者の障害の程度(松川町HP)

http://www.matsukawa-town.jp/cms-sypher/open_imgs/service/0000003121.pdf

発達障がい者に対する療育手帳の交付について(概要) (総務省)

http://www.soumu.go.jp/main_content/000081476.pdf


著者情報

治療ノート編集部
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