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息子が統合失調症に… 家族の想いと精神医療に望むこと 〜「メンタルヘルスの集い」レポート第4回〜

今年3月に行われたシンポジウム「メンタルヘルスの集い」。その3人目のパネリストは、東京都の西多摩精神障碍者家族会(通称「西多摩虹の会」)にて会長を18年間務めておられる小笠原勝二さんです。西多摩虹の会は平成元年に設立され、今年で28年目を迎えます。家族会として地域に密着した活動を行う小笠原さん自身もご子息が長く精神疾患を抱えており、ご家族の立場からのご経験をお話しされました。その講演レポートを2回にわたってお届けします(写真はイメージです)

息子が統合失調症に… 家族の想いと精神医療に望むこと 〜「メンタルヘルスの集い」レポート第4回〜


突然愛息を襲った統合失調症… ご家族からの報告


私が息子の異変を初めて感じたのは今(2016年)から約19年前、息子が高校3年生の時です。これまで元気に学生生活を過ごしていた息子の生活態度がいきなり変化し、「何だかおかしいなぁ」と感じることが増えました。


最初の頃、私と妻は「成長期の一過性の症状だろう」と考えており、当時はそれが統合失調症の初期症状であったとは思いもよりませんでした。

 

日を追うごとに酷くなる息子の症状に危機感を覚え、その原因を必死に探しました。正直にいうと、息子の不可解な行動や様子はもちろん、息子の身に何が起こっているのか私たち家族には理解できませんでした。


その後、病院を受診するきっかけを掴み、医師から「統合失調症」と診断され薬物治療を開始しました。




20年近く続く自閉的な生活、健康の維持が課題


息子は発症から約19年経過していますが、自閉的な生活が今なお続いています。


我が家の場合ですが、急性期はそれなりに過ごせたと思っています。ですが休息期の自閉的な症状や生活から抜け出すことが難しいようです。外部との接触を嫌がり、家族以外とのコミュニケーションも拒否しています。


自閉的な生活とあいまって、体型も発症当初と比べて大きく変化しました。私たちから見ても健康が保持されているかが、心配になってくるぐらいです。




患者との限られたコミュニケーション… 精神医療の課題


息子の診察を通して感じた精神医療に対する印象は「診察時の患者とのコミュニケーションが非常に少ない」です。診察時に質問する時間が限られているような雰囲気を強く感じました。


それから「薬物治療の説明がほとんどないこと」です。症状にもよるとは思いますが、薬の種類や量を変更する機会が非常に少ないようにも感じました。




精神疾患患者の寿命と不平等に忸怩たる思いが



数年前に京都で行われた全国精神保健福祉会連合会で講演を行ったイギリスの精神科医・デビット・シャイアーズさんが「精神疾患を持つ人の寿命」について次のように報告されていました。


その内容というのは、「精神疾患のある人の寿命は、健常者よりも15年から20年短い」ということです。


それを聞いた時は非常に驚きました。それと同時に何だか「悔しい」という気持ちが溢れてきました。「どうして健康面だけではなく、寿命までもこんなに不平等を課されないといけないのか?」と、なんともやりきれない思いを感じたことを今でも覚えています。




薬物療法を中心とした今の精神医療に対する疑問


不平等さと同時にもう一つ感じたことがあります。


それは現在の日本における薬物治療が中心とした精神医療のあり方についてです。体の健康が保持されるような療法や治療が阻害されてきたように思います。


私は心の健康と身体の健康はお互い支える不可分な関係であると思います。先ほど黒川さんの発表でもご紹介がありましたが、決して心と体の健康は別々のものではないのです。

 



ご家族が日本の精神医療に望むこと


ご存知の方も中にはいらっしゃるかと思いますが、日本の平均寿命は単に長いだけではなく、健康寿命という、「自立して健康的に生活できる期間」で見ても世界トップクラスだといわれています。


ですが、このように健康寿命がトップクラスの日本であったとしても、精神疾患を持つ人は健康的に生活できないという現実が存在します。それが私には、どうしても不平等な社会のように感じてしまいます。


精神障害者を家族に持つ私たちは大切な子供また兄弟姉妹の人生を、最後の頼みの綱として現在の日本の精神医療に託しているというのが心境ではないでしょうか?


精神疾患を持った人を主体にした薬物治療、リカバリーに必要な支援を限られた環境の中ではなく、社会生活の中で進めていくことが必要なのではないでしょうか? より回復を早めていく上では大切なことのように思います。


そうしていく中で心の健康とともに身体の健康が守られていくのではないでしょうか?




言いなりではなく、治療方針の決定プロセスに関与を


臨床医および精神医療の専門家や支援者から患者やその家族に対して、治療や薬に対する説明や情報が不足しているのではないでしょうか? 特に薬の副作用や、心の健康と身体の健康を害する治療方針に関する説明・情報が十分ではないように感じます。


その結果、患者もその家族も治療方針を決定するプロセスに関与できていません。いつもお医者さんから「この薬、この薬」と言われているような気がします。


臨床医および精神医療の専門家は、患者と共有できるようなわかりやすい言葉で患者の気持ちに触れてほしいと強く訴えたいです。



…第5回につづく第3回はこちら



・統合失調症など精神疾患患者を支える障害者手帳障害年金については下記コラムを参考にしてください。

https://www.c-notes.jp/articles/168


自立支援医療(精神通院医療)については下記コラムを参照ください。

https://www.c-notes.jp/articles/13



著者情報

治療ノート編集部
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