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当事者が語るうつ病の初期症状、心と身体の問題について 〜「メンタルヘルスの集い」レポート第3回

3月に行われたシンポジウム「メンタルヘルスの集い」から、治療ノートでの連載コラム「メンタルヘルスのはなし」でもおなじみ、黒川常治さんの講演をお届けします。黒川さんはうつ病の当事者でありながら、社会福祉法人 巣立ち会にて同じ悩みを持つ人をサポートするピアサポーターとして活躍されています。当事者の立場から見つめた、支援やサービスを受ける側の精神的・肉体的な諸症状についてのお話、連載コラムとあわせて参考にしてください。

掲載日:2016年06月01日

当事者が語るうつ病の初期症状、心と身体の問題について 〜「メンタルヘルスの集い」レポート第3回


うつ病の初期症状、最初に現れた身体のサインは?


僕のうつ病の発症時の主な初期症状は、もちろん仕事への抑うつ感もありましたが、まず現れたのは身体の症状でした。

 

最初に「頭痛発疹不眠」という3つのサインが出て、それからうつ病へと進行していきました。


そのあとの身体的症状は最初に出た3つに加えて、腰痛や肥満が現れてきました。近藤先生の発表でも紹介されていたメタボリックシンドロームや糖尿病も僕が経験した症状に見事に当てはまっています。


痛風やその痛みはありませんでしたが尿酸値は上がりました。ストレス性で難聴や目眩(めまい)、低血圧なども起こりました。




夏バテや加齢による身体の変化で病状が悪化


去年の夏はうつ病だけではなく発疹と五十肩と低血圧、そして夏バテが僕を苦しめました。夏バテと五十肩の痛みで、生活に大きな制限を受けることになりました。


とにかくほとんど部屋から出られませんでした。


外に出られるのはせいぜい買い物の時ぐらいです。そうは言っても体調が辛い時には買い物もデリバリーをしてもらいました。


病院に薬をもらいに行ったり、診察を受けたりする時にはやっと家の外に出られるような感じでした。




大切なのは心と身体と経済のバランス


当日配布された資料


僕の実体験でおわかりいただけたかと思いますが、精神疾患の場合には、身体のこと、暮らしのことも大切になってきます。


それぞれの暮らしにおける生きづらさというのは、診てもらっている診察室で起きているのではなくて生活・暮らしの中で起きています。


心の治療に取り組むことはもちろん大切ですが、身体への治療が今問題視されています。


暮らしへの支援も大事です。こころの治療、身体への治療、暮らしへの支援ーー この3方向全てへのアプローチが程良い加減と絶妙なタイミングで行われることが必要となってきます。




精神疾患者が抱える身体&経済的な問題とは?


精神疾患の方に出やすい身体症状について、上半身では体重、血糖値、タバコ、眠気、だるさ、皮膚疾患が中心となります。下半身は便秘や下痢といった排便の障害、性機能不全などがよく見られます。


正直、下半身のことは医者や他の人に相談しにくい内容です。けれども僕はピアスタッフとしてこういった内容を相談されることがあります。話したいけど話せないという方はたくさんいらっしゃると思います。

 

経済的な問題では低収入、精神疾患による障害などがあります。


当事者だからこそ発信できることは、睡眠薬を服用したあとに空腹を満たすために夜食を食べてしまうということです。これは割と重要なところで、この問題にうまく介入していけるとそこから派生する問題は断ち切れるのではないかと考えています。




当事者・医療従事者に知ってほしいことは?


当事者には「自分を犠牲にする」という考えを捨ててほしい


このようにして僕ら当事者というのは、心の状態だけではなく、薬の副作用や身体の症状、生活習慣など身体の健康、身体的健康にももっと心づかいをしなければならないようです。逆にいうと「身体の健康を犠牲にしなくてもいい」ということです。


それから、「これを精神科の先生に言ってもいいのかな」と悩んで言えずにいることもキチンと伝えた方がいいです。伝えたことによって症状や状況の改善につながるかもしれないからです。



医療従事者には患者の症状や気持ちにアンテナを張ってほしい 


同時に医療従事者の方にお伝えしたいのは、精神疾患患者の心の症状の治療だけではなく、薬の副作用や生活習慣による身体の健康、身体的健康への治療も、他の医療分野や支援と連携をして改善を図っていってほしいということです。


言い換えれば「患者の訴えを犠牲にしてはいけない」ということです。


僕自身も医者に「こういう身体の症状があるのですが…」と相談したことがあります。その時にたったひと言、「そんなこともありますね」とさらりと流されてキャッチされなかったことがあります。僕はこのままではいけないと思っています。




ピアスタッフとしての目線とジレンマ


仲間たちの早すぎる死を隣で見てきて感じたこと


僕は長い間、ピアスタッフとして働いています。


その間に10人近くの仲間の早すぎる死を見てきました。同じような気持ちを支援者の立場の方は肌で感じていらっしゃるのではないでしょうか?


近藤先生がおっしゃったように、重度の精神障害を持つ方の健康格差が国際的に知られるようになりましたが、残念ながら日本国内における研究データや分析がまだほとんどありません。これは非常に残念なことですが、これからどんどん研究していかなければならないということです。



治療を続けることとそのジレンマ


僕ら当事者は今の治療を受けながら、服薬も続けながら、この研究が進むために前向きに協力していかなければいけないと思っています。


凄まじいジレンマです。この苦しみは薬のせいかもしれないし、病気の違う要素からくることかもしれません。この気持ちはジレンマ以外のものに他なりませんが、何より自分たちのためであると思っています。

 

このように考えるようになってから、医療の中断や服薬の無断中止というのは誰のためにもならないと思うようになりました。自分のためにも、周りの方のためにも一切ならないということです。


<…第4回につづく第2回はこちら


※シンポジウムでのお話を講演内容に沿う形で抜粋・抄訳させていただきました。


黒川さんの連載コラム「メンタルヘルスのはなし」はこちら

https://www.c-notes.jp/articles/123



著者情報

治療ノート編集部
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