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【第6回】うつ病で肥満&糖尿病に… 体への影響と自分でできる対処法

グラフィックデザイナーであり、ご自身の「うつ病」体験を元に講演活動なども行っているピアサポーター・黒川常治さんの連載コラム『聞きたかった!メンタルヘルスのはなし』。第6回目となる今回はうつ病のさまざまなバリエーションについて、身体的な影響やその対処法についてなどをご紹介いただきます。

【第6回】うつ病で肥満&糖尿病に… 体への影響と自分でできる対処法

症状・治療法もさまざまな「うつ病」のバリエーション


うつ病になった僕は、実は初めはネガティブな感情はあまり症状としてはありませんでした。むしろ頭痛や発疹、不眠に悩まされていました。


初めは「仮面うつ病ではないか」と診断されました。これは、気分に症状が出るのではなく、主に身体症状に不調が出るタイプです。最近では新型うつ病や非定型うつ病という違うタイプのうつ病も増えていると聞きます。


一般的に知られている抑うつが続くだけではない「うつ病」があります。


何か気に病むことがあり、カラダの不調が続くときも病院で相談してみましょう。


また、「躁うつ病」と「うつ病」は症状も治療方法も違います。その判断は医師でないと難しいでしょう。感情的につらい場合も医師へつながることをおすすめします。




希薄な感情、空虚感、自責の念…


それでは「うつ」になるということは、いったいどういうことなのでしょうか?


これは状態が小康状態の時と不安定な時とで変わります。


小康状態の時は「感情」が薄く平坦になります。起伏がなくなるということです。健康時には「うれしい」「おいしい」「愉快だ」など、豊かであった感情が少なく希薄になります。集中力も落ちがちで、広い空間にポツンと自分がいるような空虚感もあります。体も非常にだるくなります。


不安定な時は、自責の念が強くなるなど、ネガティブな感情の連鎖が始まり、どこにいても不安になってしまいます。体はそわそわしたりします。悲しい感情に包まれると涙が止まらないこともあるでしょう。怒りや苛立ちと悲しみを行ったり来たりします。


生活では昼夜逆転が起こりやすいです。朝は体が重くなかなか起きられず、夕方あたりから体が軽くなり、やっと起き出しめ、活動的になり、夜食をたくさん食べがちになったりします。


気温や気圧の変化に敏感にもなる場合があります。僕の場合、発達した低気圧が近づいてきたり、標高の高いところに行くと体調を崩します。毎年夏バテをするようにもなりました。季節の変わり目は体調を崩しやすいです。個人差はありますが、体の弱い部分が強調されることがあります。


また向精神薬を処方され初めの頃は、特に体が重く感じるかもしれません。


そんな時はどうすればいいでしょうか?




自分でできる「うつ病」の対処法


治療と合わせてできることがあります。


まずなるべく朝起きて夜早く眠る規則正しい生活にしましょう。朝、散歩などできたらとてもいいと思います。会社にお勤めの方は、時差出勤などできるようであれば朝起きて、ゆっくり通勤するのもいいと思います。


平坦になった感情は回復できます。


認知行動療法、WRAP、森田療法、ピア・カウンセリングなど、今では思考や体験の共有、その人が本来持っている希望などに寄り添った回復プログラムがあります。これは福祉施設でおこなっていたり、医療機関でおこなっている場合もあります。興味のある方は医療機関や市区町村の障害福祉課や地域生活支援センターなどにそのようなプログラムがやっていないか、問い合わせてみてください。


僕自身もピア・カウンセラーとしてたくさんの方のお話を傾聴させていただいてきております。


ピア・カウンセリングには、お互い新しい「気づき」や「言葉」があり、回復への一歩になることもあります。重たい荷物を少し軽くするという点でも、こういった回復プログラムも有効だと思います。ただし、相性やタイミングにより難しい場合もありますので、その時は主治医に相談してください。




うつ病の影響で体重100kgを超え糖尿病に…


体へも不具合が出てくることがあります。


僕自身は肥満になり70kg台だった体重が100kgを超えた時があります。先ほど述べた昼夜逆転の生活に流され、食べては寝てという生活をしてしまったためです。時には食べ物の匂いに吐き気もあったのですが、食べる量はかなり増えていました。喉が渇き甘い飲み物も飲み過ぎてしまい、尿酸値は高くなり、いつ痛風になってもおかしくないと言われました。そしていつの間にか糖尿病になってしまいました。


こういった体へのケアはどうすればいいか?


まずは食事です。家族やパートナーなど協力していただける方がいる場合はバランスのとれた食事にしてもらいましょう。ご自身で食事を用意する場合はインスタントなどを控える工夫をしましょう。また無理なダイエットはメンタルにも負担が生じます。三食しっかり栄養とエネルギーをとりましょう。食べ過ぎも禁物ですが…。


あとは運動です。歩くのはいちばんいいとされています。季節感やその変化を散歩しながら感じるのはいいものです。また朝、太陽の光を浴びるのも体にはいいそうです。激しい運動をする必要はありませんが、ヨガやストレッチなどもいいようです。体がポカポカして、程よい疲労は質の良い睡眠につながります。会社勤めの方はひと駅歩くのもいいかもしれません。


こういった規則正しい生活を無理なく続けることは回復につながります。僕も復職して規則正しい生活になると自然と痩せ始め、今では体重は80kg台まで落ちました。




焦らず、急がず、ゆっくり休みましょう


忘れてはならないのが休養です。敢えて「だらしなくしていい日」を1週間に1~2日とりましょう。病気を抱える、治療するというだけでも大変な仕事を抱えているようなものです。完璧主義にならず、しっかり休む日を作りましょう。周りの方は、暖かく見守ってあげてください。僕自身もこれをいちばん大事にしています。心にも脳にも休養が必要です。


うつなどの精神疾患になるといろいろ失うものもありますが、つまずいたからこそ気づく自分のことや周りのこと、そして得ることもあります。そこで終わりではなく、回復するチャンスはいろいろあります。無理なくゆっくりでも人生はまだそこから続くのです。


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プロフィール

黒川常治(くろかわじょうじ)
黒川常治(くろかわじょうじ)
1969年東京生まれ。グラフィックデザイナー、社会福祉法人巣立ち会・ピアスタッフ、ピアカウンセラー。株式会社DHC在籍時はロゴマーク、健康食品のパッケージデザインを担当。メンタルヘルスの啓発活動や講演活動も行う。著書:「焦らない,諦めない.」(やどかり出版)「当事者からの50のヒント+α」(PDF電子書籍 http://www.dlmarket.jp/products/detail/245569)